病気やけがをした患者の看病をする中で、快方に向かって、いずれ完治する人も多いです。ところが精神疾患のような心の病を抱えている患者の場合、なかなか管理させるのが難しいといわれています。自分の担当している患者が病気やけがから快方に向かって退院できれば、達成感や充実感を味わえるはずです。ところが精神疾患の場合、一見すると快方に向かっていたとしても翌日になると元のような状態に戻ってしまうケースもあります。このような行ったり来たりの中で看護を続けていても、「果たして自分のやっていることは正しいのか?」「意味のあることなのか?」と疑問に感じてきてしまうわけです。そうなると、だんだん仕事に対するモチベーションが低くなってしまい、離職する人も出てきてしまうわけです。
精神科看護師はほかの看護師と違って、より患者とのコミュニケーションが重視されます。患者と向き合って看護活動ができるという本来の看護師としての使命が果たせると思って、転職する人も多いようです。しかしより患者と向き合う、すなわち近い所で看護活動をすると、ストレスもより大きく受ける可能性があると思ってください。コミュニケーションを頻繁にとることで、患者の心の中にもより深くかかわります。そうなるとより強く感情移入をしてしまいがちになって、患者の悲しい体験や腹立たしい体験も自分に起きたことのように感じられる可能性も出てきます。そうなると、余計にいろいろなストレスを受けやすくなってしまうのです。
このように他の診療科目にはない、独特のストレスを精神科看護師になると受ける可能性がある点をしっかりと頭の中に入れておきましょう。精神科看護師になる前に、精神科とはどのような所なのかなどの予備知識を持って、ある程度働く前に免疫をつけることも大事なのです。